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訪問介護員(ヘルパー)の減少

介護職推移ブログ

この表を見てどう思いますか?

ぱっと見ると全体として介護職は増えているようですが、今回は緑色で示されている訪問系に注目してください。訪問介護員(以下ヘルパー)は2016年から減り始めています。

ヘルパーってどんな仕事?

2000年の介護保険開始当時、複数の家政婦紹介所が集まって訪問介護事業所を作ると補助金が出るという施策がありました。介護保険開始当初から訪問介護を支えてきたのは元々家政婦をしていた人たちです。この中でも多くの人は非常勤のいわゆる登録ヘルパーという働き方を選択しています。当時は単価も高く、一軒の時間も長い為、とても楽で良かったという話をよく聞きました。

一人親方登録ヘルパー

直行直帰で非常勤の登録ヘルパー。時給は一件よく見えますが、行きと帰りの移動時間は無給か雀の涙なので、時間が繋がっていなかったり遠かったりすると手取りの時給はどんどん下がります。社会保険や厚生年金の加入もない事業所が多く、自由な労働時間の反面、急な利用者の入院や逝去で仕事がなくなったり、雪や台風でも訪問しなくてはならない、休みづらかったりという大変な部分もあります。

働き方の変化

3年に1度の介護保険制度の改正では短時間化が進んでいきます。そして2015年の介護保険制度改正で総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業) が始まります。簡単にいうと介護保険という「国」の事業から切り離して「市町村単位」の事業になりました。表向きは地域の実情に合わせた柔軟なサービスを取り入れる為です。2017年からの本格実施の際には低報酬や市町村ごとの書類やルールの違いに対応するのが大変な為に大手を含め撤退が相次ぎました。事実上の要支援の切り捨てです。

実際に利用者側に問題があったかと言われれば大してありませんでした。何故なら、多くの元々必要のない人にも訪問していたからです。独居高齢者の家族の心配や不安を解消する手立てとして、掃除や買い物が大変という大義名分を作りヘルパーが訪問していたのです。利用者は 250円前後(1回あたり) で掃除や買い物をしてもらい、家族は安心、ヘルパーはきれいな部屋を掃除機かけるだけ。関わっている人たちはwin-winです。そんな事が当たり前に行われていました。

win-winだと思っていたこの20年の間の介護保険制度の変化でヘルパーには大きな変化がありました。簡単な仕事が減少し、1軒あたりの時間が短くなることで無給の時間が増えたのです。

ヘルパーの高齢化

介護保険開始当初からヘルパーをやっていた人は元々家政婦をしていた人たちなので、この20年で高齢化してしました。今では20代は1%しかいません。30代を含めても7%です。60歳以上が51%を占めており、80歳を超えた現役ヘルパーもいます。

高齢のヘルパーが退職し、その代わりになる若い人が入ってこない。これがヘルパー減少の原因のひとつで、既に若い職員を採用する力がない事業所の閉鎖は始まっています。 そして、まだまだ進行します。

若い人はなぜヘルパーにならないのか

専門学校を卒業する生徒たちは就職先を探します。その際訪問介護が選択肢となるのかがまず一点目の課題です。在宅介護の業界には中小零細の事業者が多く、採用や研修に多くのリソースを割けません。一方施設を運営する事業者は社会福祉法人をはじめとして、ある程度の資金力を持つ法人が多くわざわざ小さい会社を選ぶ人は少ないでしょう。

次に賃金です。施設に就職した場合、基本的にシフトで夜勤にも入ることとなります。夜勤は手当ても付くので、募集内容を見れば賃金の違いは明らかです。その他にも家事のスキルを求められるという点や自転車での移動、経験がない、もしくは少ない中で1対1での援助をすることなど、検討の際の不安要素は多く見つかります。

今後の訪問介護

これからもヘルパーの減少は止まりません。この状況では 身体介護>>家事>>安否確認 という優先順位をつけるのは避けられないこととなります。本来の介護職の仕事である身体介護が優先されるようになり、家事はアウトソースしていく以外手立てはありません。少ない人数でいかに効率よく高齢者の安否確認や家事をフォローしていくかが在宅介護の崩壊を防ぐ手立てとなります。

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