訪問介護の終わりの足音
緊急事態宣言の延長がとりざたされていますが、新型コロナウィルスの問題では色々な業種で今までとは違う形が模索されています。リスクの高い高齢者と接している介護業界も新しい形を本気で検討しなくてはならない状況になっています。
デイサービスでは「感染が怖い」との理由から利用を控えたり、訪問介護でも同様の事例が出ているとのことを耳にしています。
しかしながら、利用を控えることができるということは、不要不急ではなかったことの証明ともなり、介護サービスが過剰に提供されていた可能性もあります。
こちらの記事では介護現場の崩壊について触れられていますが、今回のコロナ問題よりも前から崩壊が予見されていた訪問介護では本当に「とどめ」となるのでしょうか。
変化できない介護業界
高齢者は新しいことを覚えたり、今までに経験のないことに対応するのが苦手です。スマートフォンを持っている利用者がどれだけいるでしょうか?
相手に合わせることを是とし、温かいサービスをモットーとした業界では、そもそも変化が良しとされない側面もあります。
それに拍車をかけるのが以前より問題になっているヘルパーの高齢化です。60歳を過ぎたヘルパーさんがスマートフォンを駆使できない姿は容易に想像がつきます。
2000年にスタートした介護保険と共に経営者も高齢化し、地元に根付いた中小零細法人が事業承継もできずに営業しているので、ITの活用は虚しい標語となっています。
「このままだと崩壊する」「ヘルパー不足で潰れてしまう」「助けてほしい」と受け身のまま、自分たちからはアクションも起こさず漫然と崩壊の足音を聞いています。
訪問介護の効率の悪さと大チャンス
訪問介護の効率が上がらない一番の原因は移動です。利用者の家から利用者の家までをほとんどのヘルパーが自転車で移動しています。
訪問時間は利用者の希望やデイサービスの送迎に合わせる為、全てがA-B-C-DとはいかずC-A-(1時間空き)-D-Bのような状況も多くあり効率は2の次3の次となっています。
しかし無駄が多いということは改善する余地が大きいと考えられないでしょうか?移動のない施設介護では記録の時間をどう効率化するか、自分の作業を機械にやらせることができないかと検討しています。
それと比べると在宅介護こそ効率化の効果は大きいと思います。
未来の訪問介護像
ICTやIOTを利用する一番のメリットは距離と時間の克服です。今いる場所からPCやスマートフォンで体調の確認や声掛けもできますし、録画しているのでトラブルの時にも状況が残ります。部屋の温度を知ることや、エアコンを自動で動かしたりできます。
買物や洗濯もヘルパーが行くのではなく、ヘルパーや家族がオーダーするか、タブレット等を利用する補助をすれば良いでしょう。訪問看護はスマートウォッチ等から利用者のバイタルを知り、大きな変化がなければオンライン診療で薬を出してもらう。
コミュニケーションは会わなくても可能です。
全ての高齢者に対応できるわけではありませんが、本来の介護が必要な人にリソースを集中する為にも必要だと思います。
介護保険がスタートした2000年から20年、iPhoneが発売されてから13年、そろそろ2000年のやり方から一歩足を踏み出すべきではないでしょうか。